「舞いあがれ」貴司が舞に贈った相聞歌

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ」第96話 短歌を作れず苦しむ貴司に
編集長のリュー北條は「自分のこころのなかを隠さずさらけ出しいほしい」と
「相聞歌」を書くことを提案します

万葉集に重ね、貴司くんは舞ちゃんへの秘めた恋心を
「君が行く 新たな道を 照らすよう 十億年の星に頼んでおいた」と
舞の幸せを願い詠んでいます。


この歌の本歌は万葉集のなかの一首 狭野芽上娘子が詠んだ
「君が行く道の長手を繰り畳ね 焼き滅ぼさむ天の火がも」です。
天平時代、聖武天皇の女官狭野芽上娘子に恋した罪で、流罪の身となった
官史中臣宅守との悲恋を詠んだもので、
「あなたが越前に流されていく、その長い道を幾重にも折り畳み
 一瞬のうちに焼き滅ぼす天上の火があれば、あなたは越前に流されず済むものを」と、
悲しくも情熱的な歌で、時代を超えても、読む人の心にせつなく響いてきます

越前市は国府が置かれ歴史と文化に彩られた町です。越前市を舞台にした万葉集の一首が
朝ドラの中でクローズアップされたことは驚きと共に感激です。
令和6年には、北陸新幹線越前たけふ駅開業を迎え、NHK大河ドラマは、越前市と関係の深い
紫式部を主人公にした「光る君へ」が放映されます。文化都市宣言をした越前市には、
多くの文化的遺産が残されています。これらを町づくりに繋げていただきたいと思います

万葉の里 味真野苑
悲恋の舞台となったのが越前市味真野です。 
63首に及ぶ相聞歌はこの山野を舞台に取り交わされ、
歌碑はお互いを思いやるように建っています。